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2024.04.01

ホテル・旅館経営

ホテルの開業を成功させるための完全ガイド!成功事例に学ぶホテル開業のノウハウ

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近年、国内旅行者数の回復や、訪日外国人(インバウンド)需要の増加により、日本国内のホテル需要が高まっています。特にインバウンド産業は、成長産業と言われており、将来的にも国内ホテルの需要は、伸びが期待できます。

また近年は、異業種からホテルビジネスへ参入する事例も増えています。

最近の例を挙げると、高級宝飾品ブランドであるブルガリがプロデュースする「ブルガリ ホテル 東京」が2023年4月に開業し、大きな話題を呼びました。

その他にも、無印良品を展開する良品計画や、洋菓子メーカーのドンレミーなど、本業の要素をホテルに取り入れることで、独自色のあるホテルを運営している企業が数多くあります。

この記事では、ホテル開業に興味がある方へ向けて、必要な資金や、宿泊業許可などの届出の種類、開業までのステップなどを詳しく解説します。

ホテルの種類とその特徴

ホテルの種類とその特徴

衛生行政報告例によると、全国には5万軒以上もの宿泊施設があり、旅行者は旅の目的や予算に応じて、自分に合ったホテルを選び、宿泊することができます。

日本国内には多種多様なホテルがありますが、対象客層やサービス内容により下記の4つに分類することができます。

シティホテル

シティホテルは、主に都市部の中心地に位置する大型のホテルで、宴会場や結婚式場、レストラン・バーなど、宿泊以外の設備を備えていることが多いです。

ビジネス・レジャーに関わらず、様々な客層のゲストが宿泊します。

シティホテルは、ビジネスホテルと比べ、宿泊料金が高い傾向にありますが、その分、館内設備やサービスが充実しています。例えば、客室はゆったりとした作りで、スパやプール、ジムが併設されているホテルもあります。複数のレストランで食事を提供しているホテルも多いです。

ビジネスホテル

ビジネスホテルは、出張などのビジネス利用を対象としたホテルです。

新幹線・電車移動のビジネス客が使いやすいよう、駅前や繁華街など、交通アクセスの良い場所に位置しているケースが多いです。宿泊料金はシティホテルと比べ、安価になります。

出張利用を想定しているため、シングルルームが多く、客室は比較的コンパクトな作りです。近年では、多機能テレビや大型デスク、上質な寝具など、コンパクトながらも、機能的に作られた客室が増えています。

近年のビジネスホテルには、大浴場や天然温泉、サウナなど、温浴施設に力を入れているホテルもあり、設備を充実させることで観光客の利用も増えています。

リゾートホテル

リゾートホテルは、リゾート地に位置する観光客向けのホテルです。沖縄のオーシャンビューのホテルをイメージすると分かりやすいです。

宿泊料金は、季節によって変動が大きく、大型連休や夏休みなどの観光シーズンには料金が高くなります。

客層はカップルやファミリーがメインで、1人での利用は少ないです。

日本リピーターのインバウンド客が、地方の観光地を巡りながらリゾートホテル滞在を楽しむケースも増えています。さらに、働き方の多様化にともない、リゾート地でのワーケーションのニーズが増えることも期待できます。

多くのリゾートホテルは、自然豊かな場所にあり、敷地内にはプールや大浴場、複数のレストラン、土産店などがあります。屋外アクティビティやスパなどのサービスを提供しているホテルもあります。

このように、外出しなくとも「ホテル内で旅を楽しめる」設備が整っている点が、リゾートホテルの最大の特徴です。

ある程度の「型」が決まっているビジネスホテルと比較し、リゾートホテルは、施設やサービスの面で、独自色を出しやすい業態です。そのため、異業種から参入する場合は、本業の要素を取り入れながらユニークなホテルを作ることができます。

カプセルホテル

カプセルホテルは、カプセル状(または箱状)に区切った寝室を提供するホテルです。

カプセルホテルは、繁華街やターミナル駅の徒歩圏内に立地することが多く、空港内で営業している施設もあります。設備が簡易的な分、安価に宿泊できる点がカプセルホテルの最大の強みです。

元々は男性利用の多かったカプセルホテルですが、近年は女性専用ホテルや、女性専用フロアを備えた施設も増えています。共用設備として、ロッカールーム・大浴場・ラウンジスペースなど、宿泊するために必要な設備が揃っています。

カプセルホテルは、大部屋にカプセルユニットを複数設置する、簡易的な構造の宿泊施設です。設備のシンプルさゆえ、低コスト・短期間で開業できる点は、カプセルホテル開業の大きなメリットです。

最近では、清潔で高級感のある施設や、サービスが充実している施設など、いわゆる「進化系カプセルホテル」が人気を集めています。

一昔前の「安かろう悪かろう」や「終電を逃した人向け」のイメージは払拭されつつあり、今後は若い旅行者や、女性客の増加も期待できます。

ホテル開業にかかる主な費用

ホテル開業にかかる主な費用

ホテルを開業するためには、多額の費用がかかります。

開業資金は、ホテルの規模・立地・サービス内容などによって幅がありますが、最低でも1,500〜3,000万円程度は必要と言われています。(出典元:資金調達ノート) 

実際にホテルを開業する時には、具体的に以下のような費用がかかります。

物件取得

ホテルを運営するための、物件を取得するための費用です。

物件取得費用は、特に大きなウェイトを占める出費となるため、慎重に物件を選定しましょう。

物件取得費用は、ホテルの立地や、規模(客室数)によって変動します。立地に関しては、都市部や駅近の物件が高額な一方、地方の物件は安価な傾向にあります。

また、土地を購入してホテルを新築するか、既存物件を購入するかで、費用が変わってきます。どちらが安いかはケースバイケースによるため、取得費用と今後の工事費用とのバランスを考慮したうえで「新築」か「既存物件」か、どちらを購入するか判断しましょう。

ホテル開業を成功させるためには、ホテルのコンセプトに合った立地で、予算の範囲内で物件を選定することが重要です。予算をオーバーしてしまい、開業後の利益を圧迫することのないよう注意しましょう。

設備投資

ホテル内の設備やサービスを充実させるための費用です。客室内の家具・アメニティの設置や、食事会場や大浴場などの整備にかかる費用が該当します。

また、ゲストの目には直接触れないバックヤード業務(客室清掃・調理・予約管理など)に必要なシステムや備品の導入も、必要な設備投資になります。

設備投資の金額は、ホテルのコンセプトやグレードによって大きく異なります。そのため、明確なコンセプトを持ち、必要な部分へ的確に設備投資をすることが大切です。

建築/リノベーション

ホテルを建設するための費用・既存物件をリノベーションするための費用です。

土地を取得し、ホテルを新築する場合は、当然ながら高額な建築費用がかかります。しかし、新築では一からホテルを設計して、理想のホテルを作り上げることができる点で、非常に大きなメリットがあると言えます。

既存物件のリノベーションの場合は、新築と比較し、工事費用を抑えられるのが最大のメリットです。既存設備を流用できる部分が多いほど、工事費用や、設備投資などのコストを削減することが可能となります。

逆に、内装・外装の両方を大幅に改装する場合には、リノベーションとは言え、大きな工事費用がかかるので注意が必要です。

新築もリノベーションも、大きな費用がかかる部分です。設計士や工事業者などと十分に打ち合わせをし、工事費用に納得した上で、工事を進めましょう。

人件費

ホテル運営に必要な人員を雇うための費用です。

下記は、ホテルを運営するために必要な、おおよその従業員数です(あくまでも参考値として参照ください)。

ホテルの業態(客室数)おおよその必要従業員数
リゾートホテル (150室以上)150名〜
ビジネスホテル (80~150室)50〜150名
カプセルホテル (100室以下)〜30名

※サービス内容や、食事提供の有無で必要な従業員数は変動します。

スタッフを募集するにあたって、求人広告の掲載費用などの採用コストも発生します。

そして、スタッフ採用後は給与の支払いがあります。ホテル開業後すぐに利益が出るとは限らないので、開業時点で数ヶ月分のスタッフの給与を確保しておいた方が安心です。

人件費はランニングコストでもありますが、開業費用としてまとまった金額を用意しておく必要があります。また、ホテルの規模や、食事・宴会の有無によって必要な人員数は変わります。

業務内容と人員配置を綿密にシミュレーションし、最適な人件費で開業しましょう。

広告宣伝費

開業したホテルを宣伝するための費用です。

ホテルを新規開業する際は、ホテルの存在を多くの人に知ってもらうため、宣伝をする必要があります。まずは、予約機能付きの自社ホームページの開設は必須です。

ホームページ制作を外注すると、一般的には数十万円の費用がかかりますが、公式ホームページからの直接予約が増えることで、OTAに支払う送客手数料を削減できます。コストをかけてでも、高品質のホームページを用意しましょう。

また、ホテル予約サイト(OTA)上で、検索結果の上部に広告を掲載する「検索連動型の広告」や、旅行雑誌・地元の新聞へ広告掲載など、様々な媒体で宣伝ができますが、いずれも有料の場合がほとんどです。

無駄な出費とならないよう、効果が期待できる媒体に絞って広告宣伝費を使うことが大切です。

許可/ライセンス取得

ホテル開業に必要な許可証やライセンスを取得する費用です。

例えば、代表的なものに「旅館業営業許可」があります。これは、全ての宿泊施設に必須の許可であり、取得には2〜3万円の申請手数料がかかります。

後ほど詳しく説明しますが、ホテルでのサービス内容によっては「飲食店営業許可」など、追加でライセンスの取得が必要となる場合もあります。

その他、消防設備関連の届出など、ホテル開業には各種申請が必要で、申請費用が発生するものが多いです。

これらの各種申請を行政書士に依頼することもできますが、旅館業営業許可の申請のみでも20万円以上の費用がかかる場合があります。

資金調達の方法

資金調達の方法

ここまで説明したように、ホテルを開業するためには様々な費用がかかります。ある程度まとまった資産を持っている場合は、自己資金から開業費用を捻出することが可能でしょう。

しかし、ホテル開業資金の全てを自己資金でまかなえない場合は、金融機関の融資や、投資家からの出資などを受けて資金調達をする必要があります。

融資の場合は、日本政策金融公庫の創業融資など、創業期でも利用しやすい制度もあります。投資家からの出資を受ける場合は、「事業の成長性・将来性」が出資可否の判断材料となります。

また、クラウドファンディングも資金調達の方法の1つです。インターネットを使い「事業に賛同する」不特定多数の人から、小口の出資を募る仕組みがクラウドファンディングです。

出資の一部にあたるため、返済の義務はありませんが、あらかじめ出資者へ返礼品(ホテルの場合は「無料宿泊券」など)を提示する必要があります。

さらに、国や自治体の補助金・助成金を活用できる場合もあります。補助金や助成金は原則的に返済不要なため、要件を満たしている場合は積極的に活用してください。

東京都の「創業助成事業」などのように、新規創業者を対象とした制度も多くあります。また、「IT導入補助金2024」の対象となっているサイトコントローラーやPMSもあるので、システム選定の際は必ずチェックしましょう。

費用削減の戦略

費用削減の戦略

物件選定時の費用削減の方法として、居抜き物件(元々ホテルだった物件)の活用があります。リノベーション等の工事も最低限で済むので、工事費用の大幅な削減が期待できます。

設備投資に関しては、開業時は必要最低限に留め、開業後に段階的に設備投資を増やす方法をとれば、開業費用を削減することができます。

この場合、「お客様の声」と「現場スタッフの声」を反映した設備投資ができる点も、大きなメリットです。また、自動チェックイン機やPMSなど、ホテル業務を支援するシステムを導入することで、人件費の削減が可能です。

広告宣伝費の削減には、SNSの活用が効果的です。特に、若い旅行者とSNSは相性が良いため、上手にSNSを運用できれば、コストをかけずに高い集客効果を狙えます。

また、各業者との交渉も、コスト削減に繋がる場合があります。

建設業者・リネン業者・備品の仕入れ先など、ホテルを開業する際は、様々な業者と取引をすることになります。費用削減をするためには、各業者の担当者と値段交渉をすることも必要となります。

ホテル開業に必要な法的要件

ホテル開業に必要な法的要件

ホテルを開業するためには、各種許可やライセンスを取得し、法的要件を満たす必要があります。

一口にホテルと言っても、営業形態や提供するサービスの内容によって、必要な許可が異なるので注意が必要です。

建築許可

ホテルを新築、またはリノベーションする際は、「建築基準法」が定める基準をクリアすることが必須です。

ホテルの建物は、建築基準法上で「特殊建築物」の「ホテル等」に分類されます。そのため、住宅の「一般建築物」と比べ、非常に厳しい建築基準への適合が求められます。

新築・改築工事を行う際は「ホテル等」の基準を満たすよう設計し、工事を進めなければなりません。

「用途地域」の確認も必須です。用途地域とは、より良い街づくりを目的に、「建ててよい建物・建てられない建物」が決められている地域です。

「ホテル等」の建築物が建てられない用途地域も存在するので、物件取得前に必ず確認しましょう。

宿泊業許可

ホテルを開業するためには、旅館業法に基づく「旅館業営業許可」も必要です。

旅館業法では、旅館業を「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義しており、ホテルに限らず、ほとんどの宿泊施設で、旅館業営業許可の取得が必須となっています。

旅館業には下記3つの区分があり、業種ごとに許可基準が異なります。

  1. 旅館・ホテル営業
  2. 簡易宿所営業
  3. 下宿営業

ビジネスホテルやリゾートホテルを開業する場合は「旅館・ホテル営業」の営業許可を取得します。カプセルホテルの場合は「簡易宿所営業」で開業が可能です。

旅館業営業許可の管轄は保健所です。ホテル所在地を管轄する保健所へ、必要書類を提出した後、保健所職員による施設の検査を経て、営業の許可が与えられます。

飲食店営業許可

ホテル内で飲食物を提供する場合は「飲食店営業許可」が必要です。ホテルで朝食を提供する場合や、レストラン・食堂を併設する場合が該当します。

飲食店営業許可を取得するためには、管轄の保健所の検査に合格する必要があります。検査に合格するためには、細かい要件をクリアしなければなりません。自治体により合格基準やルールが異なる場合もあるので、管轄保健所に事前に相談しましょう。

また、飲食店営業許可を取得するためには、1名以上の食品衛生責任者を設置することが定められています。

酒類販売許可

ホテル内の売店で酒類を販売する場合は「酒類販売免許」が必要です。ロビーのお土産コーナーで、地ビールや地酒を販売する場合がこれに該当します。

飲食店営業許可と異なり、酒類販売業免許の管轄は税務署になります。申請書などの必要書類を作成し、ホテルの所在地を管轄する税務署に申請します。その後、税務署の審査を通過すれば、免許が付与されます。

なお、税務署の審査は2ヶ月ほどかかるので注意が必要です。ホテルでお酒を販売する予定がある場合は、早めに申請しましょう。

消防安全許可

ホテルを開業するためには、消防法に基づき、必要な消防用設備を備えることが義務付けられています。

消火用設備(消火器や火災報知器など)の必要数や種類は、ホテルの面積・収容人数・建築物の構造などによって、細かく定められています。必要な届出の種類も施設によって異なるので、消防署の指示に従い手続きを行いましょう。

消防設備の設置が完了した後、消防署による立入検査で合格となれば、「旅館業営業許可」の申請時に必要となる「消防法令適合通知書」が交付されます。

ホテル開業に必要な設備とアメニティ

ホテル開業に必要な設備とアメニティ

設備やアメニティの充実度は「お客様満足度」に直結するので、慎重に選定しましょう。

ホテルのコンセプトや価格帯によって異なりますが、代表的なアイテムは以下の通りです。

設置場所代表的な設備・備品
客室ベッド、デスク、テレビ、冷蔵庫、リネン
バスルーム各種タオル、シャンプー類、※アメニティ
レストラン / バー厨房、テーブル、椅子、食器、グラス、メニュー
フロントデスク業務用PC、ルームキー、レジ
清掃用具掃除機、布巾、洗剤類、ビニール袋、リネンワゴン
共有スペースソファーなどの家具、パンフレット類
その他自動販売機、製氷機、ランドリー

プラスチックごみ削減のため、歯ブラシなどのアメニティをフロントで配布する施設も増えています。

ホテル開業の流れとステップ

ホテル開業の流れとステップ

次に、ホテル開業までの流れを、11ステップに分けて詳しく説明します。

ホテルを開業し、安定した経営をするためにも、それぞれのステップを確実にクリアしていきましょう。

ビジネスプランの作成

はじめに、大枠となるホテルの種類(ビジネスホテル・リゾートホテルなど)を決定することからスタートします。

その後、ターゲット市場や客層を定め、その市場に合った立地や、サービス内容を練りましょう。

既存の競合ホテルとの競争に勝つためには、サービスや設備の差別化が必須です。競合ホテルを研究し、新規開業の強みを生かした競争力のあるビジネスプランを作り上げましょう。

開業にかかる費用の見積もりや、開業後の収益予測などを明確にしておくことも重要となります。

資金調達

ビジネスプランが決まり、開業に必要な費用が確定したら、資金調達を行います。

まとまった資産を持っている場合は、第一に自己資金の投入を考えます。

資金調達が必要な場合は、銀行からの融資や、投資家からの出資を受け、必要な資金を集めます。その他にも、クラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げ、支援を募る方法もあります。

また、要件を満たす場合は、積極的に各種補助金・助成金も活用しましょう。

開業準備中は、予定外の出費が発生する可能性もあるので、余裕のある金額を用意しておくと安心です。

物件の選定と契約

ホテル開業で最も重要なステップが、物件の選定と契約です。ビジネスプランに沿って、物件を選定しましょう。物件の立地は、売上を大きく左右する要素となります。ターゲットの客層と、立地にズレがあっては、集客が上手くいかないかもしれません。

例えば、ビジネスホテルの場合は、ターミナル駅やオフィス街の周辺エリアが最適と言えます。反対に、自家用車・レンタカー利用の観光客がメインのリゾートホテルの場合は、自然の豊かさや、敷地の広さに比重をおくのも良いでしょう。

様々な物件を見学し、検討を重ね、ホテルのコンセプトに合った物件を探しましょう。

物件が決まった後、ホテルを新築する場合は、土地を購入します。既存の建物を利用する場合はリース契約または、物件を購入します。

設計と建築またはリノベーション

物件の契約が完了したら、ホテルの設計を行います。

建築家やインテリアデザイナーと打ち合わせを実施してから、ホテルの内外装やインテリアを決めます。費用や工期についても、業者としっかりと話し合い、納得したうえで工事に進みましょう。

新築の場合は、購入した土地にホテルを建築し、既存物件を利用する場合はリノベーション工事を行います。

建築基準法や消防法などへの適合に関して、工事業者や関係機関と確認をしながら工事を進めることも重要なポイントです。

許可とライセンスの取得

ホテル経営に必要な各種許可やライセンスを取得します。

「旅館業営業許可」を取得するための保健所の立入検査や、消防署による消防設備の検査など、完成したホテルで各種検査を受け、必要な許可を取得します。

酒類販売免許(審査期間2ヶ月)のように、申請から取得までに日数がかかるケースもあります。各種申請を行う際は、管轄する機関に早めに問い合わせましょう。

OTAやシステムの選定~導入

以下は、ホテルの開業・運営に必要なシステムです。

  • サイトコントローラー

オンライン予約サイトのデータを一元管理するためのシステムです。各サイトでの在庫・料金・予約管理を、サイトコントローラー上で一括で行えるため、業務効率が向上します。

サイトコントローラーには、各サイトの在庫を自動更新する機能が備わっています。ダブルブッキング・オーバーブッキングを防ぎながら、複数の予約サイトで集客するためには必須のシステムとなります。

  • PMS(ホテル管理システム)

チェックイン・精算・清掃・ゲスト情報の管理など、フロント業務全般を支援するシステムです。サイトコントローラーと連携することで、予約サイトの予約情報を自動的にPMSに取り込むことが可能です。

必要な顧客情報が全てPMSに集約されるので、チェックインや精算などの、フロント業務がスムーズになります。

  • OTA(オンライン予約サイト)  

楽天トラベル、じゃらんnet、Booking.comなどの予約サイトのことを指します。

大手OTAにホテルを掲載すれば、多くのユーザーの目に留まり、知名度向上や、予約数の増加に繋がります。多言語対応しているOTAも多いので、インバウンド集客にも有効です。

一方で、宿泊料金の10~15%の送客手数料を宿側が負担する必要がある点は、注意が必要です。

国内外に様々なOTAがあるので、ターゲットの客層に合うOTAがある場合は、導入を検討しましょう。

サイトコントローラーやホテル管理システム(PMS)は、製品によって機能が異なり、多機能なものほど、高額になる傾向にあります。また、サイトコントローラー・ホテル管理システム・オンライン予約サイトは、それぞれ連携して使用するケースがほとんどなので、各製品の相性も導入前に確認しましょう。

いずれも毎日の業務に使用する重要なシステムなので、業務フローに沿ったシステムを導入することが重要です。

スタッフの採用とトレーニング

フロント(日勤・夜勤)、清掃、調理、配膳、予約管理など、各ポジションに必要な人員を採用します。優秀な人材を集めるために、採用活動はなるべく早めに開始しましょう。

スタッフの募集は、求人サイトなどを利用するのが一般的です。宿泊業界特化型の求人サイトもあるので、業界経験者を採用する際に利用してみるのも良いでしょう。

インバウンド客の宿泊が想定される場合には、外国語対応が可能な人材を確保することも重要です。

ある程度スタッフの人員数が揃ったら、スタッフのトレーニングを実施します。ホテルはポジションごとに仕事内容が異なるので、それぞれのポジションに合ったトレーニングを実施しましょう。

物品と設備の購入

ホテルに必要な物品や設備を購入します。

国内には髙木商会、キャリン、ダイトーなど、ホテル用品専門の卸売業者が多くあります。このような専門業者を利用すれば、ホテルで必要な物品は一通り揃うので大変便利です。

また、アメニティや食器など、大量に仕入れる物品に関しては、ボリュームディスカウントが効く場合も多いので、業者に確認してみましょう。

併せて、フロント業務で使用するPCやレジ端末、清掃などのバックヤード業務に必要な備品も購入します。スタッフの労働環境や業務効率を考慮し、使い勝手の良い備品を揃えることが大切です。

全ての物品の購入と設置が完了すれば、いよいよホテルのハード面が完成し、開業を待つばかりとなります。

広告とプロモーション

オープン日が確定したら、予約の受付を開始します。

新規開業のホテルで予約数を増やすためには、広告やプロモーションは必須です。ホテルの知名度アップのためには、旅行サイトや旅行雑誌、地元の新聞などへの広告掲載が有効です。SNSなども積極的に活用しましょう。

公式予約サイトやオンライン予約サイトでは、「オープン記念プラン」を期間限定のプロモーション価格で販売するなど、積極的に施策を打ちましょう。

予約サイトで一覧表示された際に、他のホテルに埋もれないよう「○月○日 新規オープン!」の文言や、新規施設ならではの綺麗な施設写真を掲載するなど、目立たせる工夫も重要です。

オープン・開業

いよいよホテル開業となります。ここまで充分に準備をしてきたはずなので、自信を持ってゲストをお迎えしましょう。

初日は平常時より多めに人員を配置しておくことで、不測の事態にも対応でき、スタッフも心に余裕が持てます。また、不慣れなスタッフに対しては、しっかりとフォローに入り、チーム一丸となって開業初日を乗り越えましょう。

業務終了後は、一緒に頑張ったスタッフに感謝を伝えましょう。その後、1日のオペレーションを振り返り、改善点を洗い出し、翌日の営業に備えます。

運営と管理

ホテルを開業した後は、経営が軌道に乗るよう運営・管理を続けます。

ホテルはホスピタリティ産業です。お客様の満足度を最大化できるよう、接客対応やサービスの質を日々向上させることが大切です。お客様の満足度が上がれば、自然と予約数も伸び、その結果、稼働率・客単価が上がり、収益が向上します。

また、スタッフが働きやすい環境を作り、離職率を下げることも重要です。歴の長いスタッフが増えれば、サービスの質が安定しやすくなります。さらに、新規採用やトレーニングのコストも削減できます。

お客様とホテルスタッフの両方に愛されるホテルを目指しましょう。

ホテル開業の成功事例

ホテル開業の成功事例

ホテル各社は様々な戦略を立て、ホテルを開業・運営しています。ここでは、ホテル開業の成功事例を3つ紹介します。

小規模グランピング開発の成功事例

とあるビジネスホテルが、ホテル敷地内にテント2棟のグランピング施設をオープンさせた成功事例です。

フロントや浴室などの設備や、調理・清掃スタッフは既存ホテルのリソースを活用することで、少ない初期投資で開業しました。開業前の集客も順調で、ホームページやSNS、プレスリリースなどで積極的に集客することで、初月から稼働率80%超を達成しました。

開業後も、SNS広告と自社ホームページを活用しながら順調に売上を伸ばし、初期費用削減の効果もあり、約3ヶ月で初期投資を回収し、事業を軌道に乗せました。

新規事業をスモールスタートさせ、短期間で初期費用の回収に成功した、新規開業の好例です。

ホテル・旅館のマーケティング成功事例

長期出張やワーケーションなどで、「ホテルの長期滞在」には一定のニーズがあり、そこを狙ってマーケティングをしている施設もあります。

主に、1週間〜数ヶ月の長期滞在者をターゲットとしており、自炊可能なキッチンやワーキングスペースなど、長期滞在者向けの設備を有しています。

長期滞在のゲストが多いと、客室清掃やチェックイン・チェックアウトの頻度が減るため、スタッフの負担を減らせるメリットがあります。そのため、少ないスタッフ数でホテルを運営する場合は、長期滞在者を集客するのは有効な策と言えます。

また、長期滞在者に絞ったマーケティングをすることで、通常のホテルより競合が少ない市場で勝負できるメリットもあります。

ホテル・旅館のSNS活用企業成功事例

SNSを効果的に活用しているホテルも増えています。

ある都内のホテルでは、ホテル館内で撮影した写真をInstagramに投稿してもらう、写真コンテスト形式のキャンペーンを行いました。優勝商品がスイートルームの無料宿泊だったことも手伝い、一般ユーザーから、約130件もの投稿を集めることに成功しました。

この他にも、ゲストのSNSに宿の口コミを投稿してもらうプロモーションを行っているホテルもあり、各社SNSの活用方法に工夫が見られます。

ホテル公式SNSと比較して、親近感や客観性がある「一般ユーザーによるSNS投稿」の活用は、参考にすべき事例と言えます。

ホテル開業によくある失敗とその対策

ホテル開業によくある失敗とその対策

ホテル開業時に陥りやすい失敗とその対策を、5パターン解説します。

出来る限り失敗やトラブルを避け、スムーズなホテル開業を目指しましょう。

ビジネスプランが不十分

よくある失敗の1つ目は「ビジネスプランが不十分」なケースです。

中途半端なビジネスプランでホテル開業に臨むと、ほとんどのケースで失敗します。運良く開業まで漕ぎ着けたとしても、予想したように売上が伸びません。

より良いビジネスプランを作成するためには、同じエリアの競合ホテルのサービス価格、客層、空室状況などを徹底的に研究することが重要です。

オンライン予約サイトを使えば、各ホテルの価格やおおよその空室情報を調べることができます。その上で、競合と差別化が出来るビジネスプランを作成しましょう。

売上や稼働率の予測なども、甘く見積らないようにしてください。収支の計画を立て、長期的に利益を出せるビジネスプランを作りましょう。

資金不足

「資金不足」も陥りやすい失敗の1つです。

開業前は、売上の入金が無く、資金が出ていく一方のため、どうしても資金不足に陥りやすくなります。

資金不足を防ぐためには、あらかじめ余裕を持った「資金調達」を行うことが大切です。開業準備中は、予定外の出費が発生するものです。それに備えて、十分な資金をプールしておきましょう。

万が一、追加で資金調達が必要となった場合は、出来るだけ早めに銀行や投資家に相談し、資金がショートすることのないよう注意しましょう。

また、支出を減らすことも重要です。建築工事や設備の購入、採用活動などでコストカット出来る部分があれば、その都度検討しましょう。

不適切な場所・立地

「立地の選択ミス」は絶対に避けるべき失敗です。

場所の選定を間違うと、どれだけプロモーションを頑張っても客足は伸びません。ホテルのコンセプトやターゲットの客層に合った立地を、慎重に選定しましょう。

最適な立地でホテルを開業するためには、そのエリアの特徴(交通アクセス・周辺の飲食店・治安など)を徹底的に調べることが必須です。周辺に競合ホテルがある場合は、そのホテルの客層や空室情報がひとつの目安になるので、必ず調べてください。

物件選びは妥協してはいけません。最適な物件が見つかるまで、とにかく根気強く物件を探し続けましょう。

マーケティング不足

「マーケティング不足」も陥りやすい失敗の1つです。

「ホテルが完成すれば、自然と予約が入るだろう」という希望的観測を持つと、マーケティングが疎かになってしまうため注意が必要です。

安定的に予約数を増やすためには、開業の何ヶ月も前から、公式ホームページ、SNS、オンライン予約サイトなどをフル活用し、積極的に宣伝広告やプロモーションを行うことが必要です。

マーケティング業務をオーナー1人で担当するのは、時間的に厳しい場合があります。そのため、可能であればマーケティング専門のスタッフを採用するのが好ましいです。

それが難しい場合は、現場スタッフでSNS運用チームや、オンライン予約サイト管理チームを結成して、トレーニングや業務の合間にマーケティング活動もしましょう。

サービスの質の低下

「サービスの質の低下」もよくある失敗と言えます。

ホテルはホスピタリティ業です。そのため、接客対応の質は絶対に落としたくありません。接客対応の質を高めるためには、採用活動の強化と、職場環境の向上に力を入れることが有効です。

優秀な人材を採用するためには、出来る限り早めに採用活動を開始し、多くの応募者と面接をすることが重要です。即戦力になる、宿泊業や接客業経験者を採用することも、サービスの向上に繋がります。

採用後は、離職率を下げるために、トレーニングの充実や、職場環境の向上に取り組みましょう。歴の長いスタッフが多いほど、チームワークが向上し、ホテル全体のサービスの質が安定しやすくなります。

また、「良い職場に良い人材が集まる」好循環が生まれ、さらなるサービスの向上が期待できます。

ホテル開業を成功させるポイント(まとめ)

ホテル開業を成功させるポイント

ホテルを開業するためには、エリアの選定や、営業許可の取得など、様々な段階を踏む必要があります。そこで、今回紹介したステップで進めていけば、異業種から参入する際もスムーズにホテルの開業ができるでしょう。

また、ホテルを開業するにあたって、資金調達やビジネスプラン作成はとても重要なポイントです。自己資金だけで足りない場合は、どのように資金調達するかも考えておいてください。

ホテルなどの宿泊業は、接客などでホスピタリティが求められます。開業後のホテル運営を円滑にするために、システム導入による業務効率化、トレーニングによるスタッフのスキル向上などにも並行して取り組みましょう。

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