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2024.07.26
ホテル・旅館経営
【目次】
ホテルや旅館などの宿泊施設において、業務の効率化は多くの施設が直面している課題です。
しかし、日々の営業や作業に追われ、業務の効率化にまで手が回らない宿泊施設も多くあります。
そこで本記事では、身近な業務から効率化していく方法、デジタル技術を活用した業務効率化、業務効率化の成功事例を中心に紹介します。
また、ホテル・旅館の業務を効率化したいとお考えの方は、「ホテル・旅館の業務効率化チェックリスト」の資料が役立ちます。
資料では、業務効率化のチェックリストをはじめとして、具体的な手順や対策についてお伝えしています。
「業務負荷が大きく離職率が高い」「アナログなシステムを使い続けていて効率が悪い」などの課題に対して、さまざまな施策を検討します。
現状課題を洗い出し、正しく目標設定・検証するための手助けとなりますので、ぜひご活用ください。
→生産性向上の秘訣とは?ホテル・旅館の業務効率化チェックリスト
ホテル業界でも、他の業種と同様に業務効率化が重要視されています。
そして、業務の無駄をできるだけ無くし、デジタルツールを活用することは、効率化の基本となる考え方です。
効率化を目指す上では、以下の4つの視点がポイントになります。
宿泊業においても、業務を効率化することが顧客満足度や利益率の向上に直結します。
業務の効率化を図るには、まず業務内容や業務の流れを可視化することから始めます。
現行の業務フローを詳細に分析し、非効率となっているポイントやヒューマンエラーが多い業務を明確にしましょう。
従業員への聞き取りも効果的で、現場スタッフにしか把握できていない非効率な業務を見つけられます。
そして、必要のない業務フローは廃止をしたり、非効率な業務はデジタル化を導入したりして、業務を最適化していきます。
スタッフが複数の業務を担当できるよう「クロストレーニング」を実施し、業務のマルチタスク化を図ることも重要です。
例えば、フロント担当のスタッフが清掃業務もできるようになれば、清掃スタッフが不足した時にサポートできます。
このように、従来の縦割りで行われていた業務を「担当部署以外のスタッフでも業務をこなせる」ようにしておけば、休日出勤や残業なども減り、無駄な人件費を削減できます。
最終的には、部署を横断したシフト体制を敷くことが理想の状態です。
アナログ業務をデジタル化することも業務効率化には欠かせません。
手作業で行っていた予約管理や顧客管理などをデジタル化することで、大幅に業務を効率化することができます。
また、自動チェックイン・チェックアウトができるシステムの導入も効果的です。フロントスタッフの業務を減らせるだけでなく、待ち時間が減り混雑も防げるため顧客満足度の向上にも繋がるでしょう。
また、スマートフォンで利用できる業務アプリの導入も、時間の有効活用を図る手段となっています。スタッフの移動距離が長くなりがちな大型施設では、離れている場所からでも報告作業ができるため非常に便利です。
客室清掃をはじめ、多くの作業工程を要する業務では「徹底した仕組みづくり」と「マニュアル作成」が業務効率化のポイントです。
近年、人手不足の影響もあり、客室清掃に慣れていないスタッフにも業務を割り当てるケースが増えています。こういった業務については、仕組みづくりやマニュアル化をしておくことで、誰でも同等の質で業務を行えます。また、作業の効率化や時間短縮も可能となり、サービスの品質向上にも繋がるでしょう。
業務効率化を成功させるためには、以下のポイントを押さえながら実施すると良いでしょう。
これらのポイントや注意点を踏まえて業務効率化を進めることで、より効果が高い改善策を実施できます。
まず、効率化する業務を明確化します。すべての業務を対象にするのではなく、効率化したい業務をピックアップしましょう。
このとき、特に「効率化の余地が大きい」と考えられる業務を選ぶことがポイントです。
次に、ピックアップした業務について優先順位をつけます。特にヒューマンエラーが多い業務は、優先的に効率化する業務になります。
業務効率化を実施するにあたっては、一時的だとしても今までのやり方を変えたり、新しいシステムを導入したりすることは、現場のスタッフに負担を強いることになります。
そのため、スタッフの身体的および精神的な負担が増えないように、十分配慮することが重要です。
また、現場の業務を誰よりも把握しているのは担当スタッフです。効率化する業務を洗い出す作業をするタイミングから、現場スタッフの意見を聞き、巻き込みながら改善を進めていきましょう。
業務効率化を成功させるためには、効率化の施策を実行して終わりではなく、実行した後もしっかりと効果を検証することが重要です。
効果検証の際には、数値化できる定量的な効果だけでなく、数値化できない定性的な効果のどちらも確認する必要があります。
そうすることで、改善策を微調整しながら業務をさらに効率化していくことができるでしょう。
作成したマニュアルや導入されたツールを効果的に活用するためには、現場スタッフに対する教育が不可欠です。
特にデジタルツールを導入する際には、稼働前にスタッフに対して操作方法などの研修を行い、実務で使えるようにしておく必要があります。
また、稼働後も定期的な研修を実施することで、新しい機能を学びながらスキルアップもしていきましょう。
一般的に、業務の効率化をしていくことで、以下のメリットが得られます。
項目 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
ヒューマンエラーの減少 | 手作業で行っていた業務を自動化することで、人的なミスを無くすことができる | ・予約管理の自動化 ・オンライン決済の導入など |
コスト削減 | 無駄な残業代を減らしたり、ペーパーレス化で用紙代や印刷代を削減できる | ・顧客台帳のペーパーレス化 ・業務マニュアル活用による時間短縮など |
人手不足の解消 | 業務のマルチタスク化やデジタル化により、特定業務の人手不足を解消できる | ・クロストレーニングによるマルチタスク化 ・セルフチェックインの導入など |
顧客満足度の向上 | 宿泊客の利便性が良くなり、サービスの質も高まるため、顧客満足度も向上してリピートに繋がる | ・予約エンジンの導入 ・待ち時間の短縮など |
コア業務への集中 | 本来の担当すべきコア業務へ集中できるようになり、顧客へのサービスが行き届くようになる | ・クレーム対応が減り接客業務へ集中できるなど |
手作業で行っていた予約管理や会計などをシステムで自動化することで、業務効率化が図れるだけでなく、人的なミスが極限まで減ります。
それに伴い、人的ミスに起因するトラブルやクレーム対応に時間が奪われることもなくなるため、本来の業務に集中することができるでしょう。
紙ベースで予約台帳や顧客台帳を使っている場合、デジタル化を導入することでペーパーレスを実現でき、紙代や印刷代といったコストを削減できます。
また、効率化によって業務時間を短縮できれば、無駄な残業時間も減らせられるため、結果的に人件費も抑制できるでしょう。
アナログ業務のデジタル化、スタッフのマルチタスク化などを進めることで、人手不足を補うことができます。さらに、柔軟なシフト体制を組むこともできるでしょう。
また、残業時間の削減はスタッフのワークライフバランスを向上させ、退職率の低下にも繋がります。離職者が減れば、人手不足に陥るリスクも少なくなります。
業務効率化によって時間に余裕ができるため、ゆとりを持って接客業務に打ち込めます。結果的に接客の質が高まり、顧客満足度の向上やリピート数の増加にも繋がります。
また、チェックインなどの待ち時間を減らすことで、顧客のストレスを軽減させることができ、サービス全体の満足度も向上するでしょう。
予約の受付やキャンセル処理、チェックイン業務などを自動化できれば、フロントスタッフは本来の接客業務に集中することができます。
その他にも、業務を効率化することで本来の業務に集中できる部門はいくつもあります。優先度が低い業務、本来なら不必要な業務などに時間を取られているなら、業務フローの見直しが必要です。
フロントだけでなく各部門のスタッフが、本来すべき業務に集中することができれば、自ずと
サービスの質も上がり、顧客満足度の向上へと繋がるでしょう。
ホテルや旅館などの宿泊施設において、業務効率化に成功した事例をいくつか紹介します。
なお、ここから紹介する事例は「観光庁:宿泊業の生産性向上推進事業|改善事例一覧」を参考にしました。この観光庁のページでは、さらに多くの事例が紹介されています。
従来はシングルタスクで自分の持ち場のみだったのに対し、時間帯ごとに様々な部署での業務を兼任するマルチタスクへ移行しました。それにより、お客様との接客の時間を増やすことができ、サービス向上に繋がっています。
また、チェックや確認の体制がなかったため、抜け漏れなどがありましたが、毎日ミーティングをすることで、その日の状況などを共有することができるようになりました。
ナイトフロントへの業務移管や売店業務のマルチ化を実施しました。ナイトフロントでは、客室案内やアンケートの集計などの業務を担当し、フロントの負担を軽減しました。
また売店担当では、派遣スタッフが3名でしたが、フロント社員が研修にて売店業務を習得したため、派遣1名のみと他社員で運営をしています。
改善前の3ヶ月(5〜7月)の1人あたりの平均残業時間は、以下の通りでした。
改善策を実行した後の平均残業時間は、以下のようになっています。
このように、1人あたりの平均残業時間は減少し、派遣社員の休日数も前年から増えています。
さらには、全員が様々な業務を習得しているため、対応可能な他スタッフが増え、シフトの管理が簡単になりました。
あらゆる予約エンジンからの情報を一元管理し、リアルタイムで電子化することを実施しました。
それにより転記労力・転記ミスを防ぎ、本予約表の配布などを無くすことができました。
想定される改善効果としては、年間で約1,095時間の作業時間を削減し、約47,450枚のコピー用紙を節約できる見込みです。
ホテル業務を効率化できるツールは多数あります。その中でも代表的な以下の5つをご紹介します。
それぞれ概要をまとめました。
ツール | 概要 | ツール例 |
---|---|---|
予約エンジン | ・オンラインでの宿泊予約が主流となり、OTA(オンライン旅行代理店)を経由せずに自社サイトからの予約を受け付けるホテルが増加している ・ダブルブッキングや予約漏れといったヒューマンエラーを防止でき、キャンセル対応をする必要も無くなる ・予約時に自動でクロスセルやアップセルがされ、売上拡大にも繋がる | ・Check Inn ・Direct In S4 など |
セルフチェックイン システム | ・チェックインやチェックアウトの自動化により、フロントの無人化 ・省力化が実現できる ・スマートロックとの連携により、さらなる業務の省力化が可能となる ・多言語に対応したセルフチェックインシステムを導入すれば、翻訳担当のスタッフ配置が不要となる | ・aipass for hotels ・AirHost HMS など |
サイトコントローラー | ・楽天トラベル、じゃらんnet、Booking.comなど複数の宿泊予約サイトからの予約情報を一元管理できる ・複数のOTAを利用したい場合は、導入が必須となる ・予約のダブルブッキングを防止し、予約管理業務を効率化することができる | ・手間いらず ・TL-リンカーン など |
ホテル管理システム (PMS) | ・予約管理、顧客管理、フロント業務支援、施設管理、料理管理、清掃業務の効率化と自動化が実現できる ・セルフチェックイン機や自動精算機との連携もできる「Check Inn」のように、サイトコントローラー、PMS、自社予約エンジンが一体化したシステムもある | ・PREVAIL ・ビズサイト ・ナフェイス CLOUD など |
コミュニケーション ツール | ・スマホに専用アプリをインストールし、Bluetoothでイヤホンマイクを接続するだけでコミュニケーションが可能なツールもある ・インターネット環境さえあれば、大規模な施設でも移動せずやり取りができる ・部署間の連携が強化されるだけでなく、部署を超えた連携もスムーズになり、サービス向上に繋がる | ・LINEビジネス ・BONX WORK など |
ホテル業務の効率化には、マニュアルの整備や従業員のトレーニングだけでなく、デジタルツールによる自動化が不可欠です。
デジタルツールを有効活用することによって、業務効率化やコスト削減はもちろん、より効果的なマーケティング施策、サービスの質向上によるリピート数の増加などにも繋がります。
デジタルツールの導入を検討している方には、Check Innがおすすめです。
Check Innは、サイトコントローラー、PMS、自社予約エンジンなどがすべて一体化しており、あらゆる情報を1つのシステムで一括管理できます。
複数のシステムを併用する必要がないため、業務効率化に繋げやすく、導入・運用コストも抑えられます。
【初期費用】無料
【月額費用】18,000円より ※施設規模や予約サイトで変動