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2026.07.02
ホテル・旅館経営
【目次】
客室稼働率を気にせず、経営をしていませんでしょうか?
ホテル業界では、経営を安定させるために、客室稼働率が最も重要な指標の一つです。客室稼働率は、客室をどれほど効率的に活用できているかを示す指標であり、利益や運営計画に大きな影響を及ぼします。
そこで本記事では、客室稼働率についてや稼働率が大切な理由と課題、さらには具体的な施策についてご紹介します。

客室稼働率(OCC:Occupancy rate)とは、ホテルの集客状況や販売状況を把握するための基本指標です。販売可能な客室数に対して、実際に販売できた客室数の割合を示すもので、客室がどの程度有効に活用されているかを確認できます。
ホテル経営において、売上や利益を把握するためにさまざまな指標が用いられるなか、客室稼働率は、多くの宿泊施設で日常的に確認される重要な指標です。
稼働率が高いほど、客室の利用状況は良好といえます。ただし、客室稼働率はホテルの運営状況を把握する指標であり、収益性を直接示すものではありません。
そのため、客室平均単価(ADR)やRevPARといった関連指標と併せて確認することで、より正確な経営分析が可能になります。
客室稼働率(OCC)は、「宿泊利用された客室数÷販売可能な客室数×100」で計算できます。例えば、販売可能な客室数が100室で、そのうち70室が利用された場合、客室稼働率は「70室÷100室×100=70%」です。
なお、計算時に用いる販売可能客室数には注意が必要です。メンテナンスや改修工事などで販売を停止している客室は、販売可能客室数に含めない場合があります。
施設ごとに算出基準が異なる場合があるため、他施設や過去データと比較する際は条件をそろえることが重要です。
また、「100%-客室稼働率」で求められる空室率も、指標として用いられます。例えば、客室稼働率が70%の場合、空室率は30%です。空室率を併せて確認することで、販売機会の損失状況を把握しやすくなります。
客室稼働率は日別だけでなく、月次や年次でも継続的に確認することが大切です。日々の変動だけでなく、季節要因や需要の変化、長期的な推移を把握することで、自施設の実態や改善点をより正確に分析できます。
客室稼働率(OCC)は、ホテルの全客室に対して、どれだけの客室が実際に利用されたかを示す指標に対し、客室平均単価(ADR)は、販売された客室一室あたりの平均単価を示しています。
計算式は「客室平均単価(ADR)=売上金額÷販売した客室数」です。OCCは運営効率を示す指標であり、ADRは収益性に関する指標で、価格設定の評価に役立ちます。
これら2つの指標を組み合わせて活用することで、経営分析がより詳細となり、収益性や運営状況の改善につながります。
レヴパー(RerPAR)は、販売可能な客室1室あたりの収益を表す指標です。客室稼働率(OCC)とは異なり、収益性を示すため、異なる視点からホテル経営を分析し評価できます。
RevPARは、客室稼働率(OCC)と客室平均単価(ADR)を掛け合わせて算出され、両者のバランスが取れているかを確認するのに役立ちます。
計算式は「1室あたりの収益(RerPAR)=客室稼働率(OCC)×客室平均単価(ADR)」です。OCCが高くてもADRが低ければ、収益はそれほど上がらないため、RevPARを用いて総合的な収益力を評価することが重要です。

ホテル経営において指標を活用することは、ホテルの現状を正確に把握するために必要です。目標に対してどの程度進捗しているかを測ることができます。
また、客室稼働率のデータを基に、経営戦略を立てたり、改善施策を考えたりすることも可能です。経営者が感情や勘に頼って経営を進めてしまうと、見落としがちな要因や変動要素に対応できなくなってしまいます。
客室稼働率がホテル運営において重要である理由を4つにまとめました。
それぞれ詳しく解説します。
客室稼働率が高いということは、ホテルの収益性向上に直接繋がります。
まず高い稼働率は、固定費を分散させる効果があります。例えば、設備投資や人件費といった固定費が、より多くの客室から収益を得ることで軽減され、利益を最大化することが可能です。また、稼働率が高いほど、客室から得られる収益が安定するので、経営の基盤が強化されます。
稼働率は他の指標である客室平均単価(ADR)やレヴパー(RevPAR)と組み合わせて分析することが重要です。これにより収益性を総合的に評価し、適切な戦略を立てるためのデータが得られます。
客室稼働率は、ホテルの運営効率やサービス提供能力を測る重要な指標です。
稼働率が高いということは、多くの客室が利用されていることを意味します。そのため、清掃業務やチェックイン業務の効率性に影響するので、適切な人員の計画が可能です。
稼働率の変動は、需要予測や人員配置計画に大きな影響を与えます。例えば、繁忙期と閑散期の稼働率を把握することで、正確な人員配置が可能となり、過剰な人員を抱えることやサービスの質が低下することを防げます。
このように、客室稼働率を運営効率の指標として活用することで、ホテル経営全体の改善が期待できるのです。
稼働率は、ホテル運営における競争力を強化する重要な要素です。高い稼働率を維持することで、業界内でのポジションを確立し、他のホテルとの差別化が図れます。
競争の激しい宿泊業界において、稼働率が高いホテルはより多くの顧客を惹きつけることができ、その結果収益も増加します。
また、選ばれ続けるホテルに対して、顧客は安心感を持ち、サービスの質に期待を寄せることが多いです。顧客満足度が高ければ、高評価の口コミやリピーターの獲得に繋がり、結果的に稼働率をさらに押し上げることが可能です。
このように、顧客満足と稼働率は相互に影響し合うため、長期的な成功にも寄与します。
客室稼働率は、ホテルの財務健全性を示す重要な指標でもあります。
高い稼働率は、安定したキャッシュフローを生み出し、運転資金の確保や債務の返済能力を高めます。このため、投資家や金融機関は稼働率を基に投資判断や融資条件を決定することが多いです。特に、初期投資が大きいホテル業界では、稼働率の安定が資金調達の鍵となります。
さらに、稼働率が安定しているホテルは、長期的な成長の可能性が高いと評価されるため、投資家からの信頼も得やすくなります。資金調達がスムーズになり、新たな投資機会を得ることも可能です。
逆に、稼働率が低下すると、財務リスクが増大し、投資判断にマイナスの影響を与えることもあるため、稼働率の維持と向上はホテル経営にとって不可欠な戦略です。

ホテルの客室稼働率は、2025年速報値で全国平均61.8%(出典:観光庁)です。
コロナ禍(2020〜2021年)には30〜35%台まで落ち込み、多くの宿泊施設が深刻な稼働不足に直面しましたが、行動制限の緩和とともに国内旅行需要が回復し、2022年以降は年々水準が戻っています(※2019年の全国平均は62.7%/出典:観光庁)。
ただし、この回復を支える需要の中身には変化が生じています。2025年は訪日外国人旅行者の延べ宿泊者数が前年比+8.2%と増加した一方、日本人の延べ宿泊者数は-3.8%と減少に転じており、業態によってその影響の出方が異なります。
こうした背景から、全国平均だけで自施設の稼働率を評価することには限界があります。業態や地域によって稼働率の水準や変動パターンは大きく異なるため、業態別・地域別の数値と照らし合わせながら自施設の位置づけを確認することが重要です。
ホテルの客室稼働率の目安は、業態によって大きく異なります。業態ごとに宿泊目的や利用者層が異なるためです。
| 全体 | 旅館 | リゾートホテル | ビジネスホテル | シティホテル | 簡易宿所 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025年 | 61.8% | 38.4% | 56.9% | 75.3% | 74.2% | 29.6% |
| 2024年 | 59.6% | 36.1% | 54.1% | 73.7% | 72.3% | 29.0% |
| 2023年 | 57.0% | 36.7% | 51.9% | 69.2% | 68.8% | 25.1% |
| 2022年 | 46.6% | 33.1% | 43.4% | 56.7% | 50.1% | 21.2% |
| 2021年 | 34.3% | 22.8% | 27.3% | 44.3% | 33.6% | 16.6% |
| 2020年 | 34.3% | 25.0% | 30.0% | 42.8% | 34.1% | 15.5% |
| 2019年 | 62.7% | 39.6% | 58.5% | 75.8% | 79.5% | 33.4% |
出典元:観光庁
※ 2025年度のみ速報値、ほかは確定値となっています。
2025年の客室稼働率を見ると、ビジネスホテルは75.3%、シティホテルは74.2%と高い水準です。主な利用者層は出張客ですが、大都市圏への立地から訪日外国人旅行者の需要も取り込みやすい特性があります。
近年のインバウンド需要の回復はその特性が発揮される形となっており、ビジネスホテル・シティホテルは高水準の維持が続いています。
一方、リゾートホテルは56.9%、旅館は38.4%にとどまっています。主な利用者層は国内旅行者で、季節や連休の有無によって需要が大きく変動するため、業態のなかでも繁閑差が大きくなりやすい特徴があります。
近年は国内旅行者数が伸び悩む傾向にあり、国内需要への依存度が高いリゾートホテルや旅館では稼働率の回復ペースが緩やかな状態が続いています。
簡易宿所は29.6%と他業態を大きく下回っていますが、含まれる施設はゲストハウスや民泊など種類や規模の幅が広く、稼働率の算出基準も異なる場合があります。単純比較には不向きなため、数値を参照する際は注意しましょう。
同じ業態でも稼働率は地域によって大きく異なります。全国の業態別平均はおおまかな目安になりますが、自施設の位置づけをより正確に把握するには、同じ地域・同じ業態の数値と比較することが重要です。
| 全体 | 旅館 | リゾート ホテル | ビジネス ホテル | シティホテル | 簡易宿所 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 大阪(78.8%) | 香川(55.9%) | 千葉(79.6%) | 大阪(83.0%) | 大阪(79.4%) | 大阪(75.2%) |
| 2位 | 東京(76.8%) | 神奈川(48.5%) | 大阪(72.3%) | 東京(81.6%) | 埼玉(78.2%) | 京都(53.4%) |
| 3位 | 福岡(72.6%) | 愛媛(48.0%) | 沖縄(66.6%) | 神奈川(80.4%) | 香川(77.9%) | 東京(50.1%) |
| 4位 | 愛知(69.2%) | 大阪(47.9%) | 神奈川(66.3%) | 兵庫(78.6%) | 京都(77.5%) | 福岡(45.6%) |
| 5位 | 京都(66.7%) | 宮城(47.0%) | 奈良(65.5%) | 福岡(77.8%) | 東京(77.4%) | 愛知(37.1%) |
出典元:観光庁
全体の上位には大阪府(78.8%)・東京都(76.8%)・福岡県(72.6%)と大都市圏が並ぶ一方、業態別に見ると顔ぶれが変わります。旅館の1位は香川県(55.9%)、リゾートホテルの1位は千葉県(79.6%)で、いずれも大都市圏ではありません。集客力のある観光資源や施設の集積状況が、地域単位の稼働率を左右していることがわかります。
また、同じ業態内でも地域間の水準差は大きく、例えばビジネスホテルでは1位の大阪(83.0%)と全国平均(75.3%)に7.7ポイントの差があります。
自施設の稼働率を評価する際に全国平均だけを基準にすると、立地特性が反映されないため実態とずれが生じやすくなります。同じ業態・同じ地域の水準を参照することが、より精度の高い現状把握につながります。

ホテルの採算ラインを把握するには、客室稼働率だけでなく収益構造全体を確認することが重要です。
実際には、客室稼働率が高くても利益が出ないホテルもあれば、稼働率がそれほど高くなくても安定した収益を確保しているホテルもあります。そのため、自施設の損益分岐点を把握し、適切な目標値を設定することが重要です。
ここでは、採算ラインの基本的な考え方や目安に加え、稼働率が高くても利益が出ない理由について解説します。
ホテルの採算ラインは、売上と費用が同額になる「損益分岐点」を基準に考えるのが一般的です。損益分岐点を上回れば利益が発生し、下回れば赤字となるため、採算ラインの目安として用いられます。
ホテル経営では、売上だけでなく費用にも目を向けることが重要です。特に人件費や賃料、減価償却費などの固定費は、客室の販売状況にかかわらず継続的に発生します。
固定費の割合が高い施設ほど、損益分岐点を超えるために必要な売上も大きくなります。そのため、費用構造を把握することが、採算ラインを算出する第一歩です。
採算ラインを把握しておくことで、売上目標や稼働率目標を設定しやすくなります。経営の安定化を図るためにも、損益分岐点は定期的に確認しておくことが大切です。
ホテルの採算ラインに全国共通の目安はありません。必要な客室稼働率は、施設規模や立地、業態によって大きく異なるためです。
例えば、客室単価(ADR)が高いシティホテルや高級リゾートホテルは、比較的低い稼働率でも必要な売上を確保できる場合があります。一方で、価格帯が低い施設では、必要な売上を確保するために高い稼働率が求められる場合があります。
そのため、採算ラインを判断する際は、業界平均との比較だけでなく、自施設の客室単価や費用構造を踏まえることが重要です。
稼働率が高くても、利益を確保できるとは限りません。ホテル経営では、客室稼働率だけでなく客室単価(ADR)や販売効率、コストも収益に大きく影響するためです。
例えば、稼働率を優先して大幅な値下げ販売を行うと、客室は埋まっても客室単価が低下します。その結果、売上が伸びず、十分な利益を確保できない場合があります。
また、OTA経由の予約比率が高い場合は、販売手数料の負担が増加します。稼働率が高水準でも、手数料によって利益率が低下するケースは少なくありません。
さらに、人件費や光熱費、リネン費などの運営コストが上昇すると、利益は圧迫されます。特に近年はエネルギー価格や人件費の上昇が経営課題となっています。
経営状況を正確に判断するためには、客室稼働率(OCC)・客室平均単価(ADR)・レヴパー(RevPAR)を組み合わせて確認することが重要です。3指標を合わせて見ることで、値下げによる集客なのか、適正な価格で販売できているのかが把握できます。

シティホテルの客室稼働率は比較的高い水準にある一方で、需要変動の影響を受けやすい特徴があります。
シティホテルは都市部に立地し、ビジネス利用や観光利用に加え、訪日外国人旅行者の宿泊需要、宴会やMICE需要※などによって幅広く支えられています。宿泊旅行統計調査によると、2025年のシティホテルの客室稼働率は74.2%で、ホテル業態のなかでも高水準です。
一方で、都市部需要への依存度が高いため、景気変動や国際情勢の変化、インバウンド需要の増減などの影響を受けやすい側面があります。さらに、新規ホテルの開業による競争激化も収益を左右する要因です。
安定した経営を実現するためには、下記の4つの課題への対応が欠かせません。
※ MICE需要とは、企業の会議・研修、展示会、国際会議などに伴う需要のこと。M(Meeting)I(Incentive Travel)C(Convention)E(Exhibition / Event)
シティホテルの稼働率は立地によって大きく影響を受けます。都市中心部に位置するため、観光地やビジネスエリアへのアクセスが良い一方で、地域ごとの需要の変動も避けられません。
例えば、イベントや会議の開催状況が需要に大きな影響を与えます。大規模なイベントが行われる場合、その周辺のホテルは急激に稼働率が上昇する一方、開催されないと閑散とした状態になることが多いです。
シティホテルは常に需要の変動に対応できる柔軟な運営が求められ、効率的な料金設定やプロモーション活動が重要です。立地の強みを生かしつつ、安定的な稼働率を維持するためには、状況に応じた戦略が欠かせません。
都市部には数多くの宿泊施設があり、価格競争が激化する傾向があります。この競争のなかで、ブランド力やサービスの差別化が難しく、顧客獲得に苦戦するホテルが多いのが現実です。
同様の価格帯の宿泊施設が多数存在するため、宿泊客にとっては選択肢が豊富で、どのホテルを選ぶかは非常に難しいです。 さらに、口コミやSNSでの評価が集客に与える影響も無視できません。
宿泊者の口コミがホテルのイメージを大きく左右し、評価が低ければ新規顧客の獲得が難しくなります。逆に高評価が得られれば、新規顧客やリピーターの獲得に繋がり稼働率の維持が可能です。
このような環境下で、競合他社と差別化するためには、顧客満足度の向上や独自のサービス提供が求められます。
シティホテルでは、ビジネス客と観光客の両方をターゲットにする必要があり、それぞれの異なるニーズへの対応が求められています。
例えば、ビジネス客は利便性や快適なワークスペース、スムーズなチェックインを重視します。一方で、観光客は観光地へのアクセスや丁寧な対応などを重視するため、ホテル側は両方の期待に応えることが必要です。
また、短期滞在者向けのサービスと長期滞在者向けのサービスを両立させることも課題となります。
例えば短期滞在者の方では、チェックイン前やチェックイン後も出かける方が多いため、荷物を預けたり、スムーズな接客を希望されます。
一方で、長期滞在者ではランドリー施設やクリーニングサービス、電子レンジや宅配ボックスの設置などが有効です。顧客の期待が多様化するなかで、パーソナライズされた体験を提供することがリピーターを増やす戦略として不可欠です。
高い稼働率を維持するためには、清掃やフロント業務の効率化も不可欠です。宿泊施設では、顧客のチェックイン・チェックアウトのスムーズさや、客室の迅速な清掃が稼働率に直接影響します。
また、人材不足によるサービス低下を防ぐためには、従業員教育と管理体制の強化が必要です。定期的なトレーニングを行うことで、スタッフのスキル向上を図り、顧客満足度を高めることができます。
さらに、効率的なシフト管理を導入することで、コスト削減とサービス品質の向上を同時に実現することが可能です。そのため稼働率を把握し、適切な人数を配置し、繁忙時や閑散時に応じた柔軟なシフトを組むことで、運営の効率化を図ることができます。
このような取り組みを通じて、シティホテルは持続可能な稼働率を確保できます。

ビジネスホテルは出張利用や一人利用を中心とするため、平日の需要に支えられやすく、比較的高い客室稼働率を維持しやすいことが特徴です。近年は観光客や訪日外国人旅行者の利用も増えており、需要の裾野は広がっています。
一方で、企業の方針や景気動向の変化によって宿泊需要が左右されやすい側面があります。また、都市部を中心に競合施設が多く、価格競争に陥りやすい業態といえるでしょう。
そのため、客室稼働率の向上だけを目指すのではなく、客室平均単価(ADR)とのバランスを意識した販売戦略が欠かせません。安定した収益を確保するためには、次の4つの課題への対応が重要になります。
ビジネスホテルは平日の稼働率が高い一方、週末や祝日には大幅に低下する傾向です。主にビジネス需要、特に出張客に依存しているため、企業活動の状況や経済の動向に影響を受けやすく、経済が停滞すると出張需要が減少し、稼働率が低下するリスクがあります。
さらに、リモートワークの普及が進むことで、以前のように頻繁な出張が必要とされなくなり、需要の減少が続く可能性もあります。
このような需要の変動を考慮した戦略的な施策が求められ、観光客の取り込みやイベントとの連携など、稼働率を改善するための工夫が必要です。
ビジネスホテル業界では、多くの競合施設が存在するなかで、価格競争はますます激化しています。
宿泊料金を引き下げることで稼働率を上げる戦略をとることもありますが、これにより利益率が低下するリスクが伴います。そのため、単に価格を下げるだけでなく、コスト管理と効率的な運営が重要です。
しかし、現場では人手不足が深刻な問題となっており、従業員の負担が増加し、結果としてサービスの質が低下する恐れもあります。AIや自動化システムの導入など、効率化を図るための新しい施策が今後の重要な鍵です。
例えば、AIチャットボットによる問い合わせの回答や、自動チェックイン・チェックアウトの導入などです。これにより人手不足の問題を軽減することができます。
ビジネスホテルでは、人手不足により、サービス品質の維持が難しくなっています。フロント業務や清掃業務において、スタッフの数が不足することで、顧客への対応が遅れたり、部屋の清掃が不十分になったりするケースが増加しています。
こうした状況を打開するためには、タブレットやスマホアプリによる業務管理での連携や広いロビーで使用できる清掃ロボットなど自動化やデジタル化を進めることが必要です。
しかし、導入には高額なコストがかかるため、業界全体の負担となることも懸念されています。
まずは良質なサービスを提供するために、スタッフの教育や待遇改善などできるところから改善をしていくのが先決です。
ビジネスホテルではビジネス客の利用が圧倒的に多いですが、ビジネス客は単発のプロジェクトなど、業務の都合上で一度きりの利用となることが多いです。そのため、リピーターの獲得が難しいという課題があります。
人手不足も問題視されますが、限られたスタッフ数で高品質なサービスを提供することが求められます。特に顧客満足度を向上させるには、パーソナライズされたサービスが欠かせません。
例えば、宿泊履歴に基づいたサービスや、個別のリクエストに対応することで顧客の心を掴むことが可能です。また、ロイヤルティプログラムや特典を活用し、リピーターを増やす戦略も効果的です。
これにより、顧客との信頼関係を築き、長期的な利益に繋げられます。

リゾートホテルの客室稼働率は、観光需要の影響を受けやすく、年間を通じた安定運営が課題となります。宿泊旅行統計調査によると、2025年のリゾートホテルの客室稼働率は56.9%で、ビジネスホテル(75.3%)やシティホテル(74.2%)を下回る水準です。
リゾートホテルは、自然景観や温泉、レジャー施設、地域特有のアクティビティを目的とした宿泊需要に支えられています。そのため、夏休みや年末年始、連休などの繁忙期には高い稼働率を確保しやすい一方、オフシーズンには需要が大きく落ち込む傾向があります。
また、天候不順や交通アクセスの状況、訪日外国人旅行者数の変化など、外部要因の影響を受けやすいことも特徴です。近年はインバウンド需要が追い風となっていますが、市場環境の変化によって稼働率が左右される場面も少なくありません。
こうした特性から、リゾートホテルでは繁閑差への対応や安定した集客基盤の構築が重要になります。リゾートホテルが直面する4つの課題は以下の通りです。
リゾートホテルは、季節ごとに需要が大きく変動し、特に閑散期には稼働率が大幅に低下することが課題です。例えば、夏や冬のピークシーズンには観光客で賑わう一方、オフシーズンには訪れる人が少なく、稼働率が落ち込むことが少なくありません。
また、リゾートホテルは季節ごとのイベントや観光資源に依存しているため、天候不良や社会情勢の変化によって予約状況が大きく影響を受けやすいのも特徴です。
例えば、台風や大雨による交通機関の運行停止や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような感染症拡大が挙げられます。これらの要因により、急なキャンセルが発生することも多く、予測が難しいのが現状です。
このため、繁忙期と閑散期の差を埋めるために、年間を通じたプロモーション戦略を構築し、安定した稼働率を維持することが重要になります。
リゾートホテルは都市部から離れた場所に位置することが多く、そのアクセスの不便さが集客に影響を及ぼすことがあります。
特に、公共交通機関の利便性が良くない場合、来訪者数を増加させることが難しくなる可能性もあります。移動に時間や手間がかかると、宿泊客の利用意欲が低下するため、交通手段の整備や送迎サービスの提供が重要です。
また、地元の観光資源を活用した新たなプランや、地域と連携したイベントの開催など、リゾート地ならではの魅力を引き出す取り組みが必要です。これにより、リピーター獲得と集客力の向上が期待できます。
競合が激しいリゾート地域では、価格競争に陥りやすく、宿泊料金の値下げが収益に悪影響を与える可能性があります。
そのため、他の施設と差別化するために、価格以外の魅力を打ち出すことが重要です。例えば、地元の文化を体験できるワークショップのような独自の体験や、ツアーなどの企画を提供するサービスなどにより、顧客に特別な思い出を提供し、選ぶ理由を明確化できます。
さらに、顧客ごとのニーズに応じてパーソナライズされたサービスを提供し、顧客満足度を向上させ、リピーターの獲得にもつなげることが必要です。
リゾートホテルは人手不足が問題視されています。特に離島などにあるリゾートホテルは、人手がすぐには集まらず、高時給で短期的に雇う施設も多いほどです。
また、人手不足によってサービス品質の低下も課題となっています。お客様への対応も遅れがちになり、顧客満足度の低下に繋がる可能性があります。そのため、スタッフの教育や待遇の改善を進め、優秀な人材を確保し続けることが重要です。
また、業務効率化を図るために、ITツールや自動化技術の導入も検討が必要です。普段スタッフが行う日常業務を自動化し、少ない人員で高品質なサービスを提供できる体制を整えることが求められます。

客室稼働率の低下は運営にとって大きな問題であり、稼働率が一定の基準を下回ると、事業の存続が危ぶまれます。
そのため、少なくとも事業を継続できる水準まで稼働率を引き上げることが不可欠で、リピーターの獲得や新規顧客の集客を実現するために、効果的な施策が必要です。
そこで、客室稼働率を改善させる基本施策を5つご紹介していきます。これらの施策を実行することで、安定した収益を確保し、事業の成長を促進することが期待できます。
需要予測と価格設定の最適化は、客室稼働率の向上と収益の最大化につながる重要な施策です。過去の予約実績や客室稼働率、イベント情報などを分析することで需要を予測し、状況に応じた販売戦略を立てやすくなります。
料金設定では、繁忙期は需要に応じて価格を引き上げ、閑散期は割引や特典を活用して予約を促進するのが効果的です。
また、宿泊日までに予約がどのようなペースで積み上がるかを示す「ブッキングカーブ※」を確認することで、販売ペースの変化を把握できます。予約が想定より早く埋まる場合は値上げを検討し、予約が伸び悩む場合は販促施策を実施するなど、柔軟な対応が可能です。
需要や予約状況に応じて料金を変動させるダイナミックプライシングを活用すれば、販売機会の損失を防ぎながら収益機会の最大化を図れます。加えて、競合施設の価格動向も参考にすることで、自施設に適した価格設定を行いやすくなります。
※ ブッキングカーブとは、予約開始から当日(または予定日)までに予約がどれくらい積み上がっていくか、そのペースと傾向を可視化したグラフのこと
リピーターを増やすためには、特典やポイント制度を導入し、再訪の動機を提供することが可能です。
例えば、一定の宿泊回数ごとに割引やアップグレードを提供することで、リピーターの満足度を高めることができます。また、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされたサービスや、特別な体験を提供することも効果的です。
さらに、定期的にアンケートやフィードバックを収集し、得られた意見を基にサービスを改善していくことで、顧客の信頼を得ることができます。
OTA(Online Travel Agency)と公式サイトの活用により、インターネット上での露出を最大化し集客を強化することが可能です。OTAは広範なユーザー層へのアプローチを助け、宿泊施設の認知度を向上させます。
一方で、自社公式サイトのSEO対策や情報の充実化を図ることで、直接予約を促進し、手数料を抑えることができます。さらに近年では、SNSやブログなどのデジタルメディアを活用して、ブランド認知度を高めることも効果的です。
これにより、OTAと公式サイト双方のメリットを最大限に活かし、稼働率アップを目指せます。
パッケージプランの企画では、季節ごとの特別オファーや地元イベントと連携したパッケージプランが有効です。
例えば、夏祭りや紅葉シーズンに合わせた宿泊プランを提供することで、イベントを楽しむ観光客を引き込みやすくなります。また、長期滞在プランや企業向けタイアッププランを用意することで、特定の客層をターゲットにした集客が可能です。
さらに、ホテル内のスパやレストランなどの施設との組み合わせプランを提供することもできます。こうした付加価値を加えることで、価格以外の選択理由を提供し、顧客満足度と稼働率の底上げにつながります。
効率的な運営管理は、ホテルの稼働率向上に欠かせない要素です。クロストレーニングによりスタッフが複数の役割を担えるようにすることで、忙しい時間帯やスタッフの欠員時にも柔軟に対応できます。
また、紙ベースの業務からデジタル化することで、予約管理やチェックイン業務の効率が飛躍的に向上します。
例えば、事前チェックイン機能があるオールインワンのシステムのCheck Innでは、予約の確認からチェックイン、客室管理まで一元的に行うことが可能です。チェックイン作業の時間短縮になりスタッフの負担軽減となります。
ホテルの客室稼働率について、宿泊施設の経営者の方からよくいただく質問をまとめました。計算方法から改善方法まで、わかりやすくお答えします。
A.ホテルの理想的な客室稼働率に一律の基準はありません。
適正な稼働率は、ホテルの業態や立地、客室単価によって異なります。判断する際は、業態別・地域別の平均値や自施設の採算ラインと比較すると良いでしょう。あわせてADRやRevPARも確認することで、より適切に収益性を評価できます。
A.客室稼働率は、「宿泊利用された客室数÷販売可能な客室数×100」で計算します。
例えば、販売可能な客室数が100室で、そのうち70室が利用された場合の客室稼働率は70%です。なお、メンテナンスや改修工事などで販売を停止している客室は、販売可能客室数に含めない場合があります。
A.ホテルの採算ラインに一律の基準はありません。
採算ラインは、固定費や変動費、客室単価(ADR)などによって異なります。そのため、同じ客室稼働率でも利益が出るホテルと出ないホテルがあります。自施設の採算ラインを把握する際は、客室稼働率だけでなく、ADRやRevPARも併せて確認することが大切です。
A.客室稼働率と客室平均単価(ADR)はどちらも重要であり、一方だけでは適切に評価できません。
客室稼働率は客室の利用状況を示し、ADRは販売した客室の平均単価を示します。稼働率が高くてもADRが低ければ収益は伸びにくいため、両指標を組み合わせて確認し、RevPARも含めて総合的に判断することが大切です。
A.稼働率が低い場合は、まず需要と販売状況の分析から始めることが重要です。
稼働率の低下には、価格設定、販売チャネル、集客力、季節要因など複数の要因が関係しています。まずは過去の予約データや地域の需要動向を確認し、どの時期や販売経路で機会損失が発生しているかを把握しましょう。
そのうえで、需要予測に基づく価格設定の見直しや、OTA・公式サイトの販売戦略を改善することで、客室稼働率の向上につながります。

ホテルの客室稼働率は、宿泊需要や販売状況を把握するための重要な指標です。ただし、稼働率が高くても利益が確保できるとは限りません。
適切な経営判断を行うためには、客室平均単価(ADR)やRevPARも併せて確認し、収益性を総合的に評価することが大切です。全国平均や業態別平均は参考指標として活用しつつ、自施設の採算ラインや過去実績と照らし合わせながら、継続的な改善に取り組みましょう。
客室稼働率・ADR・RevPARを継続的に管理するには、予約・販売・売上データを一元的に把握できる環境を整えることが第一歩です。
Check Innは、客室管理から自社予約サイト・サイトコントローラー連携まで一元化したオールインワンシステムです。稼働率の変動をリアルタイムで確認しながら経営判断を下せます。詳しくは資料請求または無料デモ体験でご確認ください。